呟く

「私は弱いのよ」

　そう宣言するあの娘
　本当は誰よりも強いのに
　そう言って貴方に護られようとする

「アタシは強いのよ」

　そう宣言するアタシ
　本当は壊れそうなのに
　貴方に迷惑をかけたくないから

　言葉にしたら嘘になるから
　ほら、あの娘が言うようにね
　だから、言わないまま、強いフリ

　貴方はあの娘を護って
　アタシには微笑って言うのね

「お前は強いからな」って

　貴方は気づかないのね
　アタシの抱えてる脆さに

　それともわざと騙されてるの？
　必死で演じている「強い」アタシに


　真夜中
　鳴らない携帯を抱いて
　アタシは今日も一人っきり

ひとりごと

　何か泣きたいね

　子どもの頃みたいに
　周りなんか気にしないで
　涙も鼻水も垂れ流してみたい

　何か叫びたいね

　気がつけばイイコになって
　社会のルールや常識に縛られ
　ココロすら時に放棄してたんだ

　何か壊したいね

　嫌ってた偽善者になった
　自分を押し殺すことが得意な
　ここで作り笑いを浮かべる私自身

　何か急に伝えたくなった

　別に何にも変わりはしないよ
　明日も多分私は今の私のまんま
　そうして……年老いていくんだろう

　ただのひとりごと
　きっと本気じゃない
　そう自分に言い聞かせて
　私は世界で何か呼吸してる

(no subject)

君に逢いたいと願ってた
君に触れたいと思ってた
片想いだった頃のあたし

想いが叶った時
すごく幸せだと感じた
ずっと大事にしようと誓った
……はずなのに、何故なのかな

何かが静かに醒めていった

君からどうやって離れよう
君からどうやってサヨナラ引き出そう
今のあたしの思考回路を支配するのは、
別れだけだよ

疑問

数学の問題じゃ
マイナス×マイナス
プラスになるんだけどさ

どうして
ココロの問題
マイナス×マイナス
マイナスになるのかなぁ

マイナス感情が連鎖して
さらに大きなマイナス感情になる

ココロの問題
数学の問題と同じように
プラスに解ければいいのにね

孤独な夜

あなたの唇から
真実（ほんとう）が零れるのが怖くて

もう戻れないから
真実（ほんとう）を聴いてしまったら

だからアタシは臆病になる

どんなに胸が苦しくても
「ねぇ、今誰と一緒にいるの？」って
あなたに冗談じみた口調でも訊けないんだ

アタシの気持ち
きっとあなたは知らないで
今夜もあの娘と逢ってるのかな？

鳴らないケータイ抱きしめて
返信のないメールに溜息ついて
やっぱり今夜も眠れずに過ごすんだ

あなたの心はもう理解らないのに
アタシの気持ちはあなたを求めて
本当に惨めったらしくて本当に情けなくって

涙なんか流さない
どんなに涙を流したって
あなたに届くはずはないから

過去(むかし)・現在(いま)・未来(これから)

過去(むかし)を振り返って
動けなくなってしまうことがあって

現在(いま)の状況に
完全に打ちのめされてることがあって

未来(これから)をどう生きるのか
珍しく考え込んだりすることがあって

振り返ったところで
過去(むかし)を変えられるわけじゃない

打ちのめされたって
現在(いま)に立ち向かっていくしかなくって

珍しく考え込んだって
未来(これから)は今までの積み重ねの結果であって

頭ではちゃんと理解ってるはずなのに
心がなかなかそれについていかないの

頭は先に進んで
心はずぅっと置いてけぼり

ねぇ

さびしいっていったら
きみはだきしめてくれる？
やさしくささやいてくれる？

「きみはひとりじゃないよ」って

かなしいっていったら
きみもいっしょにないてくれる？
ぼくのそばにずっといてくれる？

「きみのかなしみはぼくのかなしみだ」

きみにいぞんしてくじぶん
ぼくはなんだかこわくなってる

きみがいなくなるひのこと
ぼくはいまからこわがってるんだ

ねぇ、まだまだそのひ
とおいってしってるのにねぇ

いつか

どこまでもどこまでも
はてしなくはてしなく
わたしというものがたり
まいにちつづっていくんだ

だれかによませるわけじゃなく
ただわたしがここにいたってこと
いつかだれかにしってほしかったから

わたしがいつかきえたとき
だれからもきづかれないのは
なんとなくさびしいとおもったから

きえるのはほんとうにこわいけど
それよりもっとこわいことがある
だれからもきづかれないまんまで
このせかいからきえてしまうこと

いつかわたしのものがたりがおわるとき
だれかがわたしのものがたりにきづいてくれる
そんなささやかなきぼうをすこしくらいだいても
きっときっとかみさまはおこったりはしないよね？

ひとつ

おとなになるために

うまくいきてくために

わたしはわたしのいちぶ

しらずしらずにきりすてる



きりすてられたいちぶのわたし

さびしいってなみだをこぼすけど

きっとだれにもきづいてもらえないんだ



いちぶのじぶんにきづくため

こぼれてくなみだをぬぐうため

わたしはきょうもことばをつづる



じこまんぞくでもいいから

わたしはわたしをもういちどみつける

トラウマ

ヒトリニシナイデ

鏡の中
泣きじゃくる
あの頃のワタシ


サミシイノハイヤ

闇の中
待ち続けてる
誰かの優しい手を


とっくに切り捨てたはず
こんな臆病な過去のワタシ

それなのに消えない
それなのに鮮やかになる
あの頃のワタシが見ていた
あの頃のワタシが感じてた

セカイ
カンジョウ

今も心の奥底
まるで蛆みたいに
もそもそ這い回ってる

ああ気持ち悪い
ああ消えればいいのに

過去から逃げ回る限り
今のアタシに付きまとう
この感覚の名こそトラウマ